シミュレーションを用いた水産資源の管理―不確実性への挑戦―
日 時:平成19年11月28日(水)10:00〜16:40
場 所:東京大学海洋研究所 講堂
コンビーナー:平松一彦(東京大学海洋研究所・資源解析分野)
・企画の趣旨
水産資源の適切な管理を困難にしている要因として、生物学的な知見が不十分でかつ利用可能なデータも大きな誤差を含むという「不確実性」の問題が挙げられる。近年、シミュレーションによって資源評価や資源管理の「実験」を行い、適切な方法をさぐる試みが行われるようになった。シミュレーションでは真の資源状態が分かるため、資源評価・管理の失敗・成功を判断することができ、さらに現実の不確実性に対応するような幅広い状況下でのシミュレーションを考えることにより、不確実性に対し頑健な管理を開発することが可能である。
しかし、物理・工学系のシミュレーションのように基礎となる方程式が得られているわけではないため、その実施に当たっては独自の方法論が必要である。シミュレーションの具体的方法や結果の比較方法、最適な管理手法の選択方法はまだ確立しておらず、各研究者が試行錯誤的に行っているのが現状である。
本研究集会では、シミュレーションを用いた資源管理手法の開発を行っている研究者が一堂に会し、鯨類やまぐろ類における先行事例をレビューするとともに我が国におけるTAC対象種を中心としたシミュレーション研究の現状を概観し、さらに方法論の確立に向けての議論を行うことを目的とする。
・プログラム
10:00〜10:50 オペレーティングモデルを用いた管理方式開発の現状
平松一彦(東京大学海洋研究所)
10:50〜11:40 ミナミマグロの管理方式の開発
黒田啓行(水産総合研究センター・遠洋水産研究所)
昼食(11:40〜13:00)
13:00〜13:50 小型鯨類の管理方法の検討
岡村 寛(水産総合研究センター・遠洋水産研究所)
13:50〜14:40 スルメイカ秋季発生系群のABC算定規則の検討
櫻田玲子(東京大学海洋研究所)
休憩(14:40〜15:00)
15:00〜15:50 マサバ太平洋系群の資源評価と管理方策の検討
渡邊千夏子(水産総合研究センター・中央水産研究所)
15:50〜16:40 管理規則の事前合意
勝川俊雄(東京大学海洋研究所)
16:40 閉会