SPRの概念はBeverton and Holt(1957)によるYPR(加入量あたり漁獲量)の概念を拡張し展開したもの[→図1]で,Gabriel et al.(1989)によって次のように定式化された。
frt:t歳魚中の雌の率,Nt:t歳魚の生残個体数(加入時を1とする)
Wt:t歳の平均体重,tr:加入年齢,tmax:寿命
SPRの逆数(1/SPR)をRPSという。資源量の変動がない資源ではSPR×RPS=1になる[→図2]が,SPR×RPSが1より小さいと資源量は減少してしまう[→図3]。SPRの大きさは資源の種類や漁業の実態などの諸条件によって大きく異なる。漁獲がない場合のSPRを100とし,百分率で表したSPRの割合を %SPR といい[→図4],乱獲の程度の指標になる。また,その%SPRに対応する漁獲係数Fの値をF%SPRという。
SPR型管理は加入資源の有効利用を目標とするとともに,加入量あたり産卵親魚量(産卵量)の確保を考慮することによって,乱獲を回避することを目指す考え方である。多くの水産資源の分析により,再生産情報の少ない場合の管理基準として,30%SPRを採用することが提言されている(Mace and Sissenwine 1993)。SPR管理の詳細については松宮(1996a,b)なども参考になる。
引用文献:
計算例: 太平洋中区マダイ(EXCEL書類)