2003年4月3日 東京水産大学
[方法] データとして1992〜1995年の試験漁獲調査の結果を用いた。解禁直後のテンカラ網漁獲個体の体重組成(合計がCPUEになるよう標準化)を初期値とし,任意の成長と死亡の仮定を与え,その後の体重組成の変化を予測するモデルを作成した。成長にはBertalanffy式を仮定した。自然死亡とテンカラ網の漁獲効率は体重によらず一定とし,友釣りの体重別漁獲効率は友釣りとテンカラ網のCPUEの比より計算した。モデルで算出した体重組成と実際の組成を比較し,最小二乗法によりテンカラ網と友釣りの漁獲係数を推定した。YPR・SPR解析に基づく資源診断をおこなった。
[結果] テンカラ網と友釣りの体重組成の両方を用いた推定では,月当たりの漁獲係数はテンカラ網で0.58,友釣りで0.92となった。テンカラ網の体重組成のみを用いた推定ではそれぞれ0.54,0.46と異なる結果になった。YPR解析の結果から,庄川におけるアユの漁獲圧が高く,成長乱獲になっていることがわかった。加入乱獲の指標となる%SPRの値も小さかった。また,成長乱獲や加入乱獲を防ぐ効果は,友釣りよりテンカラ網の漁獲圧を減らしたほうが大きいことが示唆された。